企業には、さまざまな業務があり、そのプロセスには一定のパターンがあります。しかし、案件や申請内容によってそのパターンが変動すると、作業や管理が煩雑化しやすくなります。
特に、大企業でのワークフローや複数の部門を経由する業務の場合には、ワークフローが複雑になります。そういった場合、無駄な労力や時間が発生しやすく、結果的に業務効率が悪化してしまう可能性があります。
そのため、ワークフローを定期的に見直し、必要があれば改善することが大切です。そこで今回は、ワークフローを改善するための方法やポイントについて解説します。
ワークフローの改善が必要な4つのパターン
「自社において、ワークフローの改善が必要かどうかわからない」という企業も多いのではないでしょうか。従来のやり方に慣れていると、不便さや手間に気づけなくなってしまいます。
そこで、以下にワークフローの改善が必要となる代表的な4つのパターンをまとめましたので、参考にしてみてください。
1.ワークフローのルールが明確でない
ワークフローのルールが明確でないと、承認プロセスや責任の所在、セキュリティなどさまざまな面において遅延やリスクが発生します。というのも、作業する社員によってやり方が異なるため、一貫性が損なわれるためです。
このように、ワークフローは標準化されていることが重要であるため、ルールの明確化は必須です。また、ルールがあるものの、社員によって手順が異なる場合にも同様に改善が必要といえます。
2.書類の更新や回覧、検索に時間がかかる
ワークフローには、申請書や稟議書などの書類の管理も求められます。運用する中で、書類を最適なものに更新したり、社員が回覧、検索したりする機会も多くあるでしょう。
しかし、ワークフローに関する書類の更新や回覧、検索に時間がかかっていると感じる場合には改善が必要です。
3.人的ミスによる差し戻しが多い
書類の記入漏れや記入間違いといった人的ミスが発生することによる差し戻しが多い場合には、ワークフローの改善が必要です。
申請側・承認側とともに記入・確認の手間がかかるため、業務の妨げになってしまいます。
人的ミスを極力減らすための対策を行うことが求められます。
4.承認者の不在時にワークフローが滞る
承認者の一人には、社員をまとめる役職者や管理者になることが一般的です。そうした場合、承認者が出張や会議など不在になる機会も出てくるでしょう。その際に、待ち時間が発生することで、ワークフローが滞ってしまいます。
申請者にはムダな時間がかかるのはもちろん、承認者にとっても、溜まった書類の確認・処理に多くの時間を費やすことになります。そのため、承認者が不在になることでワークフローが滞る場合には、改善が必要といえるでしょう。
ワークフローを改善するための3STEP
ワークフローを改善するための方法を、3STEPを分けて解説します。
1.ワークフロー図を作成し「見える化」するワークフロー図とは、業務や業務フローを書き出し、可視化した図のことです。
まず、現状のワークフローの全体像を把握するために、ワークフロー図を作成します。ワークフロー図を作成する範囲を決め、その範囲内の業務を、実際の業務プロセスに沿って洗い出してください。
分かりやすいワークフロー図にするには、縦軸と横軸の二軸の表を作成することがおすすめです。
例えば、横軸には業務にかかわる従業員を記載し、縦軸には業務プロセスを記載してください。
2.ワークフローの課題点を洗い出すワークフロー図を作成したら、現在のワークフローの課題や問題点を洗い出します。
実際の業務に携わっている管理者や従業員の話を聞きながら、業務の各段階における課題や問題点をワークフロー図に記入していきましょう。
ワークフローの課題点を洗い出したら、改善すべき優先順位や緊急度を設定してください。例えば、多くの社員が間違えるワークフローはないか、承認作業が滞るプロセスはないかといった点まで詳細に確認していくと、スムーズに施策を立てられます。
3.ワークフローシステムを調査・検討するワークフローの課題や問題点が把握できたら、その課題や問題点を解決するための施策を検討します。まだワークフローシステムを導入していない場合には、ワークフローシステムの導入を検討することをおすすめします。ワークフローシステムを導入することにより、申請、決裁などの業務にかかる時間や手間を大幅に削減し、業務効率化などにつながる可能性があるためです。
現在、さまざまなワークフローシステムが販売されているため、自社の課題や問題点を解決できる機能があるかどうかを比較検討し、自社に適したシステムの導入を目指しましょう。
ワークフローを見直すための注意ポイント
ワークフローを改善するための方法をご紹介しましたが、ここでは、実施する際に気をつけたいポイントについて解説します。
ワークフローに関わっている全員の声を聞く
現状、組織が抱えているワークフローの課題や問題点の聞き取りは、ワークフローに関わっている従業員、管理者全員から洗い出すことが大切です。
申請者、管理者など、それぞれの立場により、行う作業は異なります。また、同じ申請者でも、人によって異なった申請プロセスを踏んでいたり、課題に感じている部分が異なっていたりする可能性があります。
紙文書によるワークフローを実施している場合には、作業や管理が煩雑化しやすく、ワークフローの全体像が曖昧になっていることもありえるため、きちんと全員から話を聞くようにしてください。
承認フローなどのフロー自体が適切か確認する
ワークフローのプロセスごとの課題や問題点を洗い出す際に、そのフロー自体が適切かどうかを確認することも非常に重要です。
例えば、管理者が異動により、そのプロジェクトを外れても、いつまでもそのプロジェクトの承認作業をし続けている場合や、二重チェックが発生している場合などには、フロー自体を見直す必要があるでしょう。
そのため、業務フローに関わる人員や、業務フロー自体が適切かどうかについても確認し、必要であれば新たなワークフローのルートやルールを設定してください。
現状の課題解決だけでなく、長期的な視点をもつ
会社の事業は、技術の進歩や社内における計画の変化、社会から求められる企業の役割の変化などの要素によって変化もあります。
そのため、定期的にワークフローも見直す機会を設け、アップデートしていくことが大切です。ワークフローシステムを導入する場合には、現状組織が抱えている課題解決だけを目的としたワークフローシステムを選んでしまうと、機能不足に陥る可能性があります。
事業の拡大や経営体制の変更が考えられる場合、ワークフローシステムの機能拡張がどこまで可能なのかという点や、外部システムとの連携ができるかどうかなどを確認しておきましょう。
ワークフローシステムを導入する場合
自社に適したワークフローシステムを導入することで、ワークフローを改善できる可能性が大いにあります。そこで、ここではワークフローシステムについて解説します。
ワークフローシステムとは
ワークフローシステムとは、申請・承認などにおける業務を自動化するためのシステムです。ワークフローや書類のフォーマットなどを設定することができ、その後の業務をシステム上で行うことができるようになります。
電子化することで、ワークフローを一元管理できるとともに、業務の進捗が可視化されるため、スムーズな業務が期待できます。
ワークフローの電子化により、業務一覧や業務フローが可視化されるため、申請・決裁業務における労力やかかる時間が大幅に削減され、業務効率化につながります。
ワークフローシステムを導入するメリット
ワークフローシステムを導入する最大のメリットは、申請・承認・決裁などにかかる業務の効率化を図れる点です。紙文書でのワークフローにかかる労力や時間を大幅に低減し、一元管理が可能になります。
例えば、申請書類を探して記入し、上司のもとに提出しに行く手間と時間が、上司においては、提出された書類を把握・管理する手間と時間が低減されます。
また、内部統制の強化や働き方改革への対応が可能になるといったメリットもあるため、多くの企業が導入を進めています。
ワークフローシステムを導入するメリットについての詳細は、以下の記事でも解説しています。
参考:「ワークフローシステムとは?導入のメリットとデメリットを解説
https://www.workflow-ex.jp/documents/about_work_flow4-4
ワークフローシステムを導入する手順
ワークフローシステムを導入する手順において大切な点は、解説したワークフローを改善する3STEPを実行することです。
ワークフローシステムを導入する目的が曖昧なまま、ワークフローシステムを選定した場合、課題や問題点を解決できる適切なワークフローシステムを選定できない可能性があります。
しっかりとワークフローシステムを導入する目的を見定めてから比較検討に入りましょう。
ワークフローシステムを導入する手順についての詳細は、以下の記事でも解説しています。
参考:「ワークフローシステムの導入手順とは?失敗しない進め方を解説」
https://www.workflow-ex.jp/documents/about_work_flow4-2
ワークフローの改善に成功した事例
最後に、ワークフローシステムの導入により、ワークフローの改善に成功した事例を紹介します。
ブリヂストン化工品ジャパン株式会社
ブリヂストン化工品ジャパン株式会社は、産業・建築資材の販売を担うブリヂストングループの企業です。
2007年に勤怠管理にワークフローシステム「ワークフローEX」を導入。しかし、決済業務においては300種類の決裁書を800名の社員が日常的に活用しており、帳票データは全国規模で飛び回っていたため、時間や手間がかかっていました。
そこで、コロナ禍におけるテレワークの導入を契機に、すべての決裁書業務を「ワークフローEX」のプラットフォーム上に一本化。決裁までのリードタイムは1/2にまで短縮され、経理担当者の工数を大幅に削減できたとのことです。
ブリヂストン化工品ジャパン株式会社のワークフロー改善事例の詳細は、以下よりご覧いただけます。
関連記事:選んだのは「ワークフローEX クラウド版」コロナ禍を機に決裁書業務を全社統一
フジッコ株式会社
フジッコ株式会社は、昆布と豆のトップメーカーとして知られている企業です。
営業部門では、繁忙期になると100件を超える申請案件が同時並行で動いていたことで、担当者は忙殺されていました。
もともとExcel帳票を使用していたため、既存のExcel帳票を活用できて、営業部門内で管理・運用できる「ワークフローEX クラウド版」を導入。申請書業務を大幅に省力化することに成功し、導入から3か月後には40万円のコスト削減が実現するとともに、決裁にかかる平均時間も半減できました。
フジッコ株式会社のワークフロー改善事例の詳細は、以下よりご覧いただけます。
関連記事:柔軟で集中対応が求められる申請業務の変革 現場主導のDX推進に「ワークフローEX クラウド版」
ワークフローは継続的な改善によって最適化を
ワークフローは、技術の発展や社会のニーズなどによって求められる形が変わってくるでしょう。
そのため、継続的な改善をするために、ワークフローを最適化し続けることが必要です。
そうすることで、企業の経営活動における生産性が向上された状態を維持することにつながります。
ぜひ、ご紹介したポイントを意識し、ワークフローの継続的な改善を目指してください。
ワークフローシステムをご検討の方はこちら
https://www.workflow-ex.jp/cloud