2021年12月27日の改正に伴い、2022年1月に電子帳簿保存法が施行されました。これにより、電子取引における帳簿などを保存することが義務付けられています。
1998年にはじめて施行されて以降、改正が続けられている電子帳簿法に、企業は対応していかなければなりません。
その対応に適したツールとしてワークフローシステムが挙げられます。電子帳簿保存法についてしっかり理解したうえで、ワークフローシステムを選定することがおすすめです。
そこで今回は、電子帳簿保存法の概要や、対応に適したワークフローシステムの特徴について解説していきます。
電子帳簿保存法とは
電子帳簿保存法とは、法人税法など国税における帳簿や書類を電子データで保存するためのルールについて定められている法律のことです。2021年12月27日の改正により、電子取引におけるデータ保存について盛り込まれたことで、各企業においてこの法律への対応が必要になり、注目を集めるようになりました。
電子帳簿保存法により、帳簿・書類に関するデータを電子化して保存することが義務付けられています。
電子帳簿の保存パターン
電子帳簿保存法における主な保存区分は以下の3つに分類されています。
電子帳簿保存
パソコンなどのコンピューターを使用して、電子的に作成した帳簿・書類をデータのまま保存することです。この区分の対象は、仕訳帳や総勘定元帳、損益計算書などがあります。
スキャナ保存
紙で作成・受領した書類を、スキャンなどによって画像データで保存することです。この区分の対象は、契約書、納品書、見積書などがあります。
電子取引データ保存
電子的な取引情報をデータで保存することです。この区分の対象は、領収書や請求書などがありますが、領収書などをデータで授受した場合などのみが対象となります。そのため、ネット通販などのインターネット上の取引すべてがこの区分の対象となるわけではありません。
2022年1月からの施行内容とは
ここでは、改正された電子帳簿保存法について、知っておくべき7つの変更点について解説します。
事前承認制度廃止
これまでの電子帳簿保存法では、帳簿に関する書類の電子データを保存、またはスキャナ保存を行う場合には、税務署に事前申請をして承認を受けることが必須でした。
今回の改正により、税務署への事前申請や承認が不要に。そのため、電子保存を導入しやすくなりました。
タイムスタンプ要件緩和
そもそもタイムスタンプとは、電子データが原本であり、改ざんされていないことを証明する技術です。タイムスタンプが付与されることで、その時刻に書類が存在し、変更されていないことが分かるようになっています。
このタイムスタンプの付与期限が、今回の改正により最長2ヶ月とおおむね7営業日以内に延長されました。また、スキャン保存において、データの訂正や削除した履歴を残すことができるシステムを導入している場合には、付与する必要がなくなりました。
優良電子帳簿に係る過少申告加算税の整備
今回の改正で、優良な電子帳簿としての要件を満たしている場合、インセンティブを受けることができるようになりました。
申告漏れが発生した場合、通常は申告漏れに対して10%または15%過少申告加算税が課されます。この優良帳簿に対しては、その申告漏れに課された過少申告加算税が5%軽減される内容に整備されています。
検索要件の緩和
改正前には、取引年月日や勘定科目など帳簿に応じた記録項目などを設定することが求められていました。
今回の改正により、検索要件は「取引年月日」「取引金額」「取引先」の3つのみとなりました。このため、電子データのダウンロードを税務署から要請された場合に、対応しやすくなっています。
適正事務処理要件の廃止
改正前には、帳簿書類をスキャンして保存する際には、「相互けん制」「定期的な検査」「社内規程整備(再発防止策)」が不正防止の観点から必要でした。
原本とデータの整合性を合わせる事務処理を2人以上で行ったり、定期検査に紙の原本書類が必要だったりとしましたが、今回の改正によりそれらが不要となっています。
電子取引データ保存に関する要件の厳格化
今回の改正により、電子取引のデータを、紙で出力して保存することができなくなりました。区分のひとつである、電子取引における領収書などのデータを授受している場合、この要件に当てはまります。
罰則規定の強化
今回の改正により、企業が改正電子帳簿保存法に対応しやすいようにさまざまな要件が緩和されています。しかし、その一方で、違反時には、重加算税10%が課されるなどの罰則が強化されたため、しっかりと対応することが必要です。
ここでは、知っておくべき7つの変更点について解説しました。改正された内容を把握し、対応できる体制を整えましょう。
電子化にはワークフローシステムの導入を
電子帳簿保存法に対応していくためには、電子化したデータを取り扱うためのツールの導入が必要です。
そのときに、帳簿書類を作成するための電子システムだけでなく、ワークフローシステムも導入することで、自社のシステムをIT化することができます。
電子帳簿保存法への対応だけでなく、自社のワークフローをこの機会に一新しても良いでしょう。
電子化するメリットとは
それでは、電子化に対応することによるメリットを紹介します。
業務の効率化
ワークフローシステムを導入し、業務をシステム上で行うことで、PCやスマホなどデバイス上でも作業が可能になります。最初に業務フローなどの設定をしておくことで、記入漏れや業務フローからの逸脱などのミスや漏れがなくなります。
また、システム上で一元管理することができるため、管理における手間や時間の削減にもつながり、業務効率化につながるでしょう。
決裁までの時間を短縮
紙文書で行う場合は確認・承認を行う者が現場にいないと止まってしまったり、現在どこにあるのか業務の進捗を確認するのが難しかったりと、様々なリスクがあるでしょう。
電子化することで、PC上で申請や承認が可能になるため、決裁までの時間を大幅に短縮できます。
ペーパーレス化
システム上でワークフローを完結することができるため、紙を出力することがなくなります。そのため、ペーパーレス化につながります。
紙や印刷代といったコストの低減だけでなく、紙の書類を保管するための手間や場所も必要なることも電子化における大きなメリットといえるでしょう。また、領収書等の紛失リスクの低減にもつながります。
場所を問わず決裁が可能
働き方改革が叫ばれている今、リモートワークに対応する環境づくりが求められている企業も多いのではないでしょうか。そういったニーズに応え、ワークフローシステムを導入することで、自宅からでもアクセスすることで決裁が可能になります。
また、出張や外出など、会社の外でも対応でき、多様な働き方の実現が可能です。
内部統制の強化
社内におけるワークフローを一元管理できるため、ルールに則っていない不適切な申請の発生を低減することができます。また、やりとりした履歴の保存もできるため、不正における抑止力につながり、内部統制の強化が期待できるのです。
このように、ワークフローシステムを導入することで、法律を遵守するためだけでなく、さまざまなメリットを受けることができます。
電子帳簿保存法に対応できる体制を
電子帳簿保存法は、帳簿におけるデータを電子化して保存する要件などに関する法律です。電子帳簿保存法を遵守し対応することで、企業はさまざまなメリットを享受することにつながります。まずは電子帳簿保存法を理解し、自社の現状と照らし合わせるのが良いでしょう。
ワークフローシステムは、経理業務含めた業務の効率化や会社全体のコスト削減が見込め、働き方改革を促進できるツールです。
電子帳簿保存法の改定に伴い、帳簿書類のみならず、業務のワークフロー全体を見直すとよいでしょう。
ワークフローシステムをご検討の方はこちら
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