【具体例あり】起案書の書き方は?基本項目やポイントを解説

起案とは、新プロジェクトや施策、提案などを開始するための案を作成し、上層部や関係者に承認を求めるプロセスのことを言います。

具体的には、提案の背景や目的、内容、期待される成果、コストやリスク分析などを文書化し、正式に提案することを指します。

起案を文書化したものを起案書と呼び、起案した内容を社内にスムーズに共有するには、起案書のフォーマット作成が必要です。

そこで、この記事では起案書の概要や目的、必要事項、書き方を解説します。

起案とは

起案とは、問題解決策や計画における提案の原案を作成することです。

組織の関係者に承認を求める以下の意思決定プロセスの一連の流れのうち、最初に行う工程のことを言います。

新しいアイデアや新商品開発、戦略策定などのビジネスの幅広いシーンにおいて活用されており、特に官公庁や学校などの公的機関においては、起案が使われることが多くあります。

また起案する人のことを起案者、起案内容をまとめた書類を起案書と呼びます。

起案に関連する用語一覧

ビジネスシーンでは、起案とよく似た用語や起案に関連する用語があります。それぞれ違いを確認しておきましょう。

  • 立案:新たなアイデアや計画を立てること。
  • 回議:立案した文書を関係者に回して、意見を聞いたり、伝達したりすること。
  • 稟議:立案した文書に対して、関係者からの承認を得ること。
  • 決裁:立案した文書に対して、最終的な権限のある立案者から承認を得ること。

起案書とは

起案書とは、起案者が考えた問題解決策や計画における提案などの原案をまとめた書類です。特に官公庁や学校などの公的機関で利用されることが多くあります。

また「起案→合議→審査→決裁」のプロセスを経て、起案書は承認されます。

  • 合議:提案内容を、関係者間で話し合い、意見を交換すること。
  • 審査:提案内容が組織の方針・戦略に沿っているかを評価すること。

ここでは、起案書の目的や稟議書との違いについて解説します。

起案書の目的

起案書を作成する目的は、関係者が提案内容を正確かつ詳細に把握することが挙げられます。起案書が承認された場合には、起案内容を実行する際の進行管理や成果の評価の際にも活用されます。

また起案者にとっても、起案書を作成することでプレゼンテーションの資料として活用できるため、詳細に内容を記載することが大切です。

稟議書との違い

起案書と稟議書は、よく似た書類として挙げられますが、意味自体もほぼ変わりません。以下に起案書と稟議書の違いをまとめました。

起案書 異なる点 稟議書
主に官公庁や学校などの公的機関 使用機関 主に民間企業内
公的な利益につながる提案や計画を提出するとき 使用シーン 企業の事業活動に関わる提案や計画における関係者の承認が必要なとき
提案の背景や目的、計画、成果予測など 構成 提案の要点、関係者の意見など

起案書に記載する項目や構成については、のちほど具体例を交えて紹介します。

起案書に記載する項目

以下に、起案書に記載する項目をまとめました。

  • タイトル(件名)

起案書におけるにおける表題を記載します。

提案内容が一目でわかるようにシンプルなフレーズにまとめることが大切です。

  • 起案者

起案者本人の名前・部署・部門を記載します。

  • 宛先

起案書を渡す人物の名前・部署・部門を記載します。

  • 起案日

起案書を提出する日付を記載します。

  • 起案内容の概要

起案内容の全体像を簡潔にまとめて記載します。

  • 起案の背景と目的

起案するきっかけとなった背景やその目的を記載します。承認を得るためには、重要性や必要性を理解してもらえるように、具体性を意識することが大切です。

  • 行動計画の内容・アプローチ手法

起案内容の行動計画やスケジュール・必要なリソース・アプローチ手法などを具体的に記載します。

  • リスク・課題の評価や対策

起案内容を実行するうえでのリスク・課題について評価を実施し、その対策と併せて記載します。

  • 予算

起案内容の実現に必要な予算を記載します。

  • 成果予測

起案内容を実現した場合に想定される成果やメリットを記載します。成果やメリットが組織における利益につながるかどうかが重要なポイントです。

  • 添付資料

起案に至った根拠や裏付けとなる調査内容や関連データがあれば、資料として添付します。こうした情報は、起案の信憑性を高めるうえで大切な資料です。

【具体例】起案書の書き方

ここでは、起案書の書き方を具体例で紹介します。フォーマットを作成する際の参考にしてください。

タイトル 公的介護施設の改修に関する提案
起案者 総務部 施設管理課 〇〇 〇〇
宛先(受信者) 総務部 部長 〇〇 〇〇
起案日 令和6年8月13日
起案内容の概要 この度、現行施設の老朽化に伴い、安全確保や利便性向上のために公的介護施設の改修を提案いたします。
起案の背景と目的 度重なる地震発生により、地域住民の不安の声が高まっています。そのため、安全確保が求められています。
行動計画の内容・アプローチ手法 提案内容

l  改修施設名:〇〇高齢者福祉施設

l  外壁の修繕、壁・柱の補強、バリアフリー化のための段差解消

リスク・課題の評価や対策 改修工事中の入居者・利用者の対応が必要です。近隣の施設に一時的に移転、もしくは在宅への訪問介護を実施予定です。
予算 1億円
成果予測 この改修により、地域住民の利用が促進されるとともに、安全性・快適性向上により満足度の達成が期待できます。
添付資料 l  現行施設の写真

l  予算見積書

l  改修予定図面

起案書作成のポイント

最後に起案書作成のポイントを解説します。

簡潔かつ具体的に記載する

起案書を受け取る人も業務を抱えているため、起案書を確認する時間は最小限に抑えたいと感じているはずです。長文でわかりにくい内容の文章の場合、起案書の内容をすべて読んでもらえない可能性もあります。

そのため、文章は簡潔な短文を心がけるとともに起承転結を意識し、読みやすくまとめることが大切です。

また、説得力を高めるためには具体的な数値やデータを記載することも有効です。たとえば「資料をデジタル化することで、決裁までにかかる時間を月100時間削減できる」など、試算した数値を用いましょう。

会社の利益につながることを記載する

起案書で最も重視されるのは、成果予測の項目です。

会社や組織にとって利益になると感じてもらえれば、承認される可能性は高まります。

そのため、成果予測の項目には、会社や組織の利益につながることを意識して記載しましょう。「売上が向上する」「ムダなコストが削減する」「作業効率が高まる」などの点から、期待できる成果について試算しましょう。

ワークフローシステムを活用する

ワークフローシステムとは、「起案・稟議~決裁」までの一連の業務の流れを電子化できるシステムです。

起案書のフォーマットをシステム上で作成できるため、書式の統一化が可能です。

またインターネット上で、過去の起案書や現在回議中の起案書まで一括管理できます。

起案書の承認ルートやアクセス権限を設定できるため、自社の内部統制やセキュリティの強化につながります。

「これまで使っていた起案書に慣れており、変更すると従業員が混乱してしまうのではないか」と不安を感じている場合でも、Excel書式をそのまま使用できるワークフローシステムもあるため、スムーズな導入が可能です。

起案書の書き方を統一するなら「ワークフローEX」の導入を

この記事では、起案書の書き方や作成のポイントを解説しました。

起案書を作成することで、提案内容を明確にでき、関係者へのスムーズな情報共有が実現します。

そのため、新しいアイデアや新商品開発や戦略策定などのビジネスシーンや公的機関において、幅広く活用されています。一方で紙書類での起案書の作成には手間がかかったり、管理コストがかかったりするのが問題点です。

そこで、起案書の書き方を統一し、承認プロセスを効率化できるワークフローシステムの導入も検討してみてはいかがでしょうか。「ワークフローEX」であれば、現行のExcel書式をそのままシステムに取り込むことも可能です。

詳しくは下記をご参考ください。

ワークフローシステムをご検討の方はこちら

オンプレ版
https://www.workflow-ex.jp/on-premises

クラウド版
https://www.workflow-ex.jp/cloud

執筆者プロフィール
株式会社Knowlbo 代表取締役 斎藤友男
株式会社Knowlbo 代表取締役 斎藤友男
1986年、株式会社Knowlbo入社。コンパイラの開発からスプレッドシート、ビジュアルプログラミングツールなど、数々の言語処理系ソフトウェアを開発。 1994年に代表取締役に就任。多くのCOMコンポーネント製品をリリース。 .NETにも逸早く注目し、早くから.NETベースのオフィス系情報共有製品を次々にリリース。 その中の「ワークフローEX」は、2007年「Microsoft Innovation Award」のコマーシャル部門で優秀賞を受賞。

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